2018年に日本でカジノ法案が成立し、国内で3つの「統合型リゾート(IR)」建設、および同施設内におけるカジノ設置が認められました。地域および国際ビジネスの両方に利益をもたらすことから、誰にとっても逃したくないチャンスが生まれました。シンガポールにおけるIRの成功を受け、日本もIRを観光事業促進のチャンスと見たのです。IRは経済に良い効果をもたらすでしょう。ギャンブルは管理された環境下で行うことが認められ、世界中からより多くの観光客を呼び込むことになるはずです。地元住民は追加料金を支払わなければカジノで遊ぶことはできず、制限付きの会員登録も必要となります。

大都市にとって、3枠あるIR誘致権の確保は大きなチャンスです。日本最大、かつ最も潤沢な予算を誇る横浜市が、このIR誘致に名乗りを上げました。林文子横浜市長は、IR建設権の取得に向けて同市が動いていることを発表しました。横浜市は、IR誘致に最初に名乗りを上げた都市でもあります。

 カジノ誘致に参入

時価総額で世界最大のカジノ企業であるラスベガス・サンズのシェルドン・アデルソン氏は、横浜でのIR誘致に対する風当たりが強まったことを受け、大阪のIR計画からも撤退を表明しました。

横浜のIRに対しては、22のカジノ企業が投資の手を上げています。メルコ・エンターテインメント、ギャラクシー・エンターテインメント、MGM、ゲンティング・シンガポール、セガサミーをはじめとする企業が、横浜のIR事業参入に向けて動いています。カジノ法案では、IR内におけるカジノの面積は全体のわずか3%までと定められています。

横浜市はすでに日本で有数の観光地であり、最大級の予算規模を誇る都市です。羽田空港からも近く、鉄道や自動車道路での東京とのアクセスも良好です。国内の他の都市の企業からも大きな注目を集めており、IRは新規事業にとっての大きなチャンスです。

 カジノ誘致に参入

IRのメインターゲットは地元住民ではありません。地元住民は1カ月あたり最大10日、週3日までという入場制限が設けられています。これには日本国内のギャンブル問題への対策と、世界からの観光客に対して最高の設備および娯楽空間を確保するという狙いがあります。

横浜市は、山下ふ頭をIRの建設地に決定しました。山下ふ頭は横浜ベイブリッジに臨む47ヘクタールの土地で、地元の市場および主要観光地からも近いという利便性があります。周辺地域の港湾事業者らはこの決定を不服としており、横浜港運協会を結成しIRの建設に反対しています。他方、横浜商工会議所はIRを全面的に支持しています。現政権は、IR建設は観光および経済にとって有益だとしていますが、反対派の説得には多大な努力が必要になってくるでしょう。